本書について
成り立ち
このプロジェクトは2023年、GitBook 上でいいかげんに始められた。「テスト」とだけ書かれた一ページが置かれ、そのまま放置された。2026年に拾い直し、まず最初にやったのは GitBook から HonKit への移行である。GitBook のオンラインエディタと旧版 CLI はずっと前から保守が止まっており、HonKit はそのコミュニティ後継で、ディレクトリ構造(SUMMARY.md)も設定形式(book.json)もほとんどそのまま互換だった。移行の手間は最小で、ローカルではワンコマンドでビルドでき、GitHub Pages へもワンコマンドで公開できる。
次にやったのは中身を入れることである。三年も空き家になった部屋は、壁を塗り直すより先に家具を運び入れるべきだ。
本書の立ち位置
これは旅行ガイドでも学術書でもない。その中間にあるものだ。
- 旅行ガイドより信頼できる——年号、地名、数字のひとつひとつを、できるかぎり地方志、政府公報、または権威ある媒体の原報道まで遡って確かめた。
- 学術書より読みやすい——註釈の構えを取らない。人を語り、事を語り、場面を語る。意見も余談も許している。
ひとことで言えば、ふつうの上海人が読み終えたあと、友だちに「知らなかった」閘北の話を三つ語れるようにすることが目標である。
史料の格付け
本書は引用資料をおおまかに格付けし、読者が信用度を判断できるようにしている。
| 等級 | 種類 | 例 |
|---|---|---|
| 甲(一次/権威) | 地方志、政府公報、文化財名録、権威機関の公文書 | 『闸北区志』、上海市政府活動報告、上海市文物保護單位名録、中国軍網 |
| 乙(二次/権威媒体) | 主流媒体の深度ある報道、党史・地方志機関の特集記事 | 新華社、人民日報、上海党史網、静安区人民政府サイト |
| 丙(参考/民間) | 百科事典の項目、紀行文、個人の回想、ネット記事 | 百度百科、ウィキペディア、地方文化系の微信公衆号 |
本文はできるかぎり甲・乙を骨格とし、丙は細部の補足や逸話にのみ用い、付録四で明示している。
いくつか注意していただきたいこと
行政区画について。 閘北区は2015年11月に建制を廃止し、静安区と合併して新たな静安区が設けられた。したがって本書における「閘北」には二つの意味がある。一つは歴史的な行政区(本書の本体)、もう一つは今なお地名や習慣的な呼び方に残る区域概念である。本書は文脈で区別し、過度な考証はしない。
データについて。 人口や面積といった数字は年ごとに変わる。本書はできるかぎり年を注記する。たとえば「面積 29.19 平方キロメートル」は廃止前の口径であり、1996年の『闸北区志』には 28.48 平方キロメートルとある。両者は矛盾するのではなく、時点が違うだけである。
図版について。 本書は著者の求めにより文字を主とし、図を載せていない。図を見たい読者は、第三部の各項目に記した住所へ実際に足を運んでいただきたい。
この本の使い方
- 手早く閘北を知りたい:第一部の編年史から。午後半日で読み通せる。
- 地図を片手に歩きたい:第三部の名所へ。各項目に住所の手がかりを付けてある。
- あの道がなぜその名なのか知りたい:付録一・路名に隠された歴史の暗号へ。
- ある説を確かめたい:付録四へ。主要な出典をすべて挙げてある。
著者について
舟哥(Nickzhuo)。本書のソースはすべて GitHub リポジトリ に置いてある。誤りの指摘・補足・議論はそちらへ Issue で。本書は https://zhabei.org でオンライン公開している。
史実の誤りにお気づきの場合は、GitHub リポジトリにて Issue をお寄せください。